民事再生とは
借金問題を整理しよう
![]()
借金問題が社会全体の問題として注目されている中、
それを取り扱う弁護士や司法書士などの事務所も多くなっています。
地下鉄などの車内吊り広告を見ていると、
かつては消費者金融の広告がたくさん掲出されていたのに対し、
今ではその消費者金融に関連して発生した借金問題解決の広告が、
入れ替わるように掲出されているというのは何とも皮肉なものです。
さて、こうした広告をよく見てみると
借金問題の解決にはいくつかの方法があることが分かります。
代表的なものを挙げてみると「自己破産」「任意整理」「特定調停」、
そしてここでご紹介する「民事再生」などです。他にも「過払い金請求」というのもありますね。
これらの方法はどれも法律で認められているものなので、
合法的に借金問題を解決することができます。
借金問題の本質というのは「お金を返せなくなった」ということなので、
その支払いを一部または全部免除してもらうことによって、借金のないきれいな体に戻します。
借金があるままでは再出発もままなりませんが、借金の問題を解決することによって、
マイナスからではなくゼロからのスタートが可能になるというわけです。
他の解決方法と違い、民事再生というのは「再生」という名前になっているように、
最も再生の可能性がある人に有効な方法です。メリットも多いので、
民事再生が可能な状態の人であれば、
できるだけ民事再生にするべきというのが専門家に共通する意見です。
民事再生とは?
![]()
民事再生とは、いったいどんな手続きのことを言うのでしょうか。
もちろん法的に借金問題を解決できる方法なので、根拠となる法律があります。
その根拠となるのが民事再生法というもので、平成11年に施行されました。
それまでにも和議法という法律があり、
倒産の危機に瀕している会社の再生をスムーズに進めるための仕組みはありました。
しかし、時代背景は変わって会社という法人だけでなく、
個人も再生スキームが必要であるという考えから、
和議法に変わって民事再生法が生まれたのです。
分かりやすくするために、Aさんという架空の人物の状況を例え話にしてみましょう。
Aさんは住宅ローンを組んでマイホームを購入したものの、勤務先の会社が業績を悪化させてしまい、
遂には倒産してしまいました。住宅ローンや子供の教育費、
生活費のこともあるのですぐに再就職先を探したものの、
折からの不景気でなかなか見つかりません。
やがて貯金は底を尽き、
消費者金融でお金を借りながら辛うじて生活を維持する状態が続きました。
ようやく再就職先が見つかったものの、膨れ上がった借金の支払いが重荷になり、
遂に家計がパンクしてしまいました。Aさんは破産に向けて一直線、
そうなるとせっかくのマイホームも手放さなくてはなりません。
そこで、有効なのが民事再生です。
継続して収入があるのに借金が重荷になって生計が維持できないという場合、
民事再生手続きによって借金を減額し、金利をストップさせます。
以後は3年間で無理のない返済計画を決めて、
その金額や返済方法でお金の貸し手と話し合い、
合意を得ます。Aさんはマイホームを手放すことなく、
無理のない返済計画にすること再スタートを切ることができるというわけです。
一方の貸し手についても破産で全額が返済されないよりは
民事再生によって一部でも返済してもらったほうが得策なので、
民事再生が有効なのです。
民事再生と自己破産の違い
![]()
どちらも同じ債務整理の手法なのですが、
民事再生と自己破産とではその性質や手続きの流れは大きく異なります。
どんなところが違うのか、なぜそれほど異なる制度がそれぞれ設けられているのか、
その点について解説します。
民事再生というのは、名称の通り現在の経済状況を再生するための制度です。
一方の自己破産は破産というように、
一度経済活動を全てリセットして全くのゼロから再スタートを切るという目的のものです。
もっと具体的に言うと、民事再生というのは一時的に債務超過の状態になっているものの、
まだまだ再生できる可能性が見込める人に有効で、
自己破産はそれが難しいという場合に選択されます。
また、民事再生については借金を減額することはあってもゼロにすることはないので、
支払い義務がなくなるわけではありません。
自己破産は免責決定を受ければ一切の債務がゼロになるので、
借金をなくしたいという意味からは自己破産のほうが有利に思えます。
しかし、借金がゼロになるというのはただ事ではありません。
自己破産をすると一定期間は特定の職業につけないことや、
もし持ち家などを持っていたとしても
全ての財産が処分されるので完全にゼロからのスタートとなります。
しかし、民事再生の場合は持ち家を除外して債務整理をすることができるので、
マイホームがある人は手放さなくても済みます。
過払いと債務整理
![]()
債務整理というと、必ずセットになって登場するものがあります。
それは、過払い請求です。
過払い請求とは利息制限法と出資法の間にあった
上限金利のギャップを利用して設定されていた高い金利が認められなくなったため、
過去にさかのぼって不当に支払うことになった利息を取り戻すことです。
すでに借金を完済している人にとっては、
純粋に払いすぎた利息を取り戻すという意味しかありませんが、
借金返済が継続中の人にとってはその借金も含めて債務整理をすることになります。
払いすぎた利息を返して欲しい、
そしてまだ借金が残っている場合はその過払い金を残債の支払いに充当したい…
これは過払い請求を弁護士や司法書士に依頼したときにとられる手続きです。
こういった手続きというのは任意整理と言って、
当事者間の話し合いによって借金問題を解決するというスキームです。
民事再生というのは任意整理とは全く別物の債務整理なので、
それを認識しておく必要があります。
過払い金という言葉が独り歩きしているという現実があるので、
まるで埋蔵金か何かがあるような錯覚に陥ってしまいますが、
民事再生とは異なる任意整理という債務整理の一種であることをしっかり認識しておいて下さい。
個人で行う民事再生の効力
![]()
個人で行う民事再生の効力。
結論から先に言いますと、最も民事再生が適しているという方は、
間違いなくご自身で居住するマイホームを持っている方です。
マイホームを購入するために住宅ローンを組んだものの、
経済状態が悪くなってローン返済や生活費のために借金が膨らんだ…
こういう経緯で借金問題を解決する方に、民事再生が最も効きます。
なぜなら、民事再生以外の債務整理ではマイホームを処分しなければならないからです。
しかし、その一方で民事再生というのはあくまでも債務のリセットではなく再生を目指すものなので、
借金自体がゼロになるということはありません。
3年で完済できる金額を目安に再生計画を立て、
それが承認されたら3年間は借金返済を続けることになります。
つまりそれができるだけの収入がある人でないと民事再生はできないのです。
逆に考えると、定期的な収入があるのに債務超過になっている人というのは、
民事再生が有効であることになります。
また、自己破産という整理方法をどうしても回避したいという人が少なからずいます。
なぜなら、自己破産をすると色々な制約があるばかりか人に知られてしまう可能性が高いからです。
そんな人にも、民事再生は強い味方であると言っても良いでしょう。
小規模個人再生とは?
![]()
民事再生には法人版と企業版があるというのは、すでにお話ししました。
このサイトでは主に個人版民事再生について詳しく解説していますが、
個人版民事再生の中にもさらに、小規模個人再生と給与所得者等再生という種別があります。
どこが違うのか、またそれぞれの制度はどんな人を対象としているのかを見ていきましょう。
小規模民事再生というのは、主に個人事業者などを想定した制度です。
マイホームを所有しながら残りの債権を5年間で返済できる金額にまで圧縮し、
債務を整理する方法です。
住宅ローンを除く借金(無担保の借金)が
総額で5千万円を超えていないことという条件がありますが、
これはもう個人版民事再生に共通しているもので、もう一方の給与所得者等再生と同じです。
給与所得者等再生と大きく異なる点としては、再生計画の可決方法があります。
立案された再生計画を書面決議する際、
債権者数および債権総額の半分以上で異議が出された場合は、
再生計画案が可決されず、民事再生手続きが進められなくなってしまいます。
もう一方の給与所得者等再生についてはこの条件がないので、
やはり給与所得者のほうが、
安定した収入を確保しやすいのではないかという推測が基準になっているのではないかと思います。
給与所得者等再生とは?
![]()
別の記事で小規模個人再生について述べましたので、
こちらではもう一方の個人再生である給与所得者等再生について解説したいと思います。
前出の小規模個人再生が自営業者や個人事業者などを対象としているのに対し、
こちらは給与所得者つまりサラリーマンを対象としているところに特徴があります。
再生計画案の可否について、
債権者または債権額の半分以上が異議を唱えた場合は
民事再生手続きが不可能になるのが小規模個人再生ですが、
こちらの給与所得者等再生にはその要件はありません。
それだけサラリーマンというのは
定期的な収入に対する安心感があるということだと思いますが、
若干有利な制度になっている反面、
過去7年以内に自己破産をしている場合は手続き不可となります。
自己破産から7年はブラックリストからも名前が消えないので、
色々な意味で制約を受ける時期と解釈できますが、民事再生でも然りということですね。
なお、この制度は今後将来にわたって給与所得が安定して得られることを前提にしているため、
若干ながら有利な制度になっています。
将来にわたって収入が安定しているというのはどの程度のことを言うのかと言いますと、
おおむね変動幅が5分の1までとなっています。



